※基本ネタバレあり
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2023/1 アクダマドライブ
こういう設定なら、アメリカのB級アクション映画みたいなドタバタコメディだと絶対面白かったのに。シリアス路線にするには、正義とは何か、権力の暴走、実験体にされる子供、など使い古された王道のテーマなのでハードルが高すぎるかも。
犯罪者たちの特徴はどれも記号的なので個性とは言い難く、いまひとつパッとしない。
喧嘩屋とチンピラのコンビは微笑ましかった。武内駿輔と木村昴なのが良いですね。お二方ともカッコよくて好きです(ミーハー)
主人公詐欺師の善人です感が終始好きになれなかった。まず最初から自分の善性を押し通そうとした結果逮捕されるという、ちょっと異常な道徳観。
依頼主の兄妹に医者が「その前に、そろそろ正体を明かしてほしんだけど。喧嘩屋やハッカーを見ればわかるように、人は金だけで動くわけじゃない。信頼関係が必要なのよ」って言ったときに兄妹が子供だからっていうだけで「弱い者いじめですよ!」と的外れな庇い方をするところとか。
終盤、処刑課から兄を救うために詐欺師がネットで民衆を扇動して、暴徒化した一般人が大勢殺されるわけですが、それ以前にも妹を助けるために既に3、4人殺してるから毒を食らわば皿までって感じでしょうか。
詐欺師はメサイアコンプレックスなのでしょうか?殺人鬼や医者と同じように詐欺師もそもそも最初から異常な人物として描かれているのかもしれません。(正常な人なんていない、人間は皆どこがタガが外れているといった壮大な話は置いといて)
詐欺師の兄妹への異様な入れ込みにしても、もう自分には何のメリットもない仕事を次々引き受ける運び屋にしても、「自らを犠牲にして子供たちの未来を守る」みたいな気高い精神ではなくて、ここまで人生がめちゃくちゃに再起不能になってしまったからには目の前の子供を意地でも助けるしかないっていうサンクコスト効果なんだろうなと思います。そういえば処刑課のボスも「処刑課もアクダマも死に場所を求めている」って言ってましたしね。
サイバーパンクな極彩色の色彩がカッコよかったです。あと場面転換の演出がスタイリッシュ。
途中途中のウサギちゃんとサメくんの教育番組もノスタルジックと不気味さが凝集してて好き。くるくる変わるTシャツの文字を読むのも楽しかった。
登場人物に説明台詞喋らせたりただのナレーション入れるよりこういう演出の方がスマートですね。
2023/1 ロサンゼルス女子刑務所
性的虐待、職権乱用、腐敗といった重いテーマのわりにあっさりスルスル観れる映画です。去年はパピヨンとかチェンジリングとか見てて精神削られる映画で消耗したので、この映画も大丈夫なやつかな…っておっかなびっくりでしたが、ホッとしました。
どうしてかな。尺が短くて展開が早いから?ルームメイトとの濡れ場でエモいロックみたいなのが流れてるから?オレンジイズニューブラック(ネットフリックスオリジナル)でもっと醜悪でストーリーも複雑な女子刑務所を散々観たからその耐性?
そもそもこれ、真面目な社会問題提起なのかポルノ映画なのかどっちなんでしょう?後者のような気はします。
とりあえずハッピーエンドで良かったです。めでたしめでたし。