歩きで峠を攻める

pixivで11年間二次創作やってます。映画・ドラマ・アニメの感想とか、その他雑記。時々イラスト

配信終了サルベージ記録 Vol.27

※基本ネタバレあり

 

 

2023/4 ドリーム・ビルダーズ ミナと秘密の夢工場

 

youtu.be

 

正直、マイナーな海外CGアニメ映画ってどれもそんなに面白くないだろうと思ってた。

それが…!

めっちゃ面白いじゃないか!

見くびってました、ごめんなさい。

 

最初はピクサーみたいな、インサイドヘッドみたいな内容かなと思っていたら、子供向けにしてはもっとダークな展開が待っていた。そういうのはいまどきっぽいですね。

 

少し冒頭のあらすじを書くと、田舎の一軒家で父親のジョンと二人暮らしの少女ミナの元に、ある日父の恋人の女性とその連れ子がやって来て突然一緒に暮らすことになった、というもの。

 

しかーし、これは観た人ならだいたいが抱く感想であろうけど、ミナの周りの奴らがまあひどいんですね。ジェニーもたいがい外道だが、横暴なまでのわがままさもデリカシーの無さも、百歩譲って子供だし生い立ちが複雑だし(でもそれ言ったらミナもだぞ?)理解できる(できない)として、親たちがまあひどい。ひどすぎる。

ジョンはミナがどんなにジェニーに意地悪されてもひたすら我慢を強制するし、事あるごとに「話し合おう」と言うが、まずジェニーとその母と一緒に暮らすことだってミナとは何も話し合わず勝手に押し通したんじゃねえか。どの口が言うんだと。

母親の方もジェニーのわがままをほとんど注意しないし、一度ジェニーが家を出たいと言ったときもジョンに「とにかく今はジェニーを最優先に」と宣う。ミナが散々蔑ろにされてきたことには無頓着で。

 

こんなひどい家族でも、最終的には何故かミナだけが譲歩してジェニーと和解することになる。ジェニーが今までの所業をミナに謝る描写は一切なし。ついでにジョンもミナの気持ちを考えず一方的に仲良し家族を強要したことを反省する様子もなし。

 

これはそのまんま、自分勝手な親への批判なのでしょうか。最後までジョンたちが自分を省みないことも、自分の都合を子供に押し付けていることに気づきもしない親がいると伝えたいのか。そういう真面目な問題意識の表出は北欧らしい、というのは偏見かしら、、(デンマークのアニメスタジオ)

 

かなり胸糞です。でも、それにも関わらずこの映画は確かに面白い。

 

夢の舞台セットや仕組み、広大な空間の宙を走る線路、そういった一つ一つにワクワクします。巨大ハムスターロボットがイケイケ音楽に乗って踊るシーンなんかも楽しくてよくできてる。そこででかいハムスターがダンスして、それで「素敵!」とはならんやろ、とツッコミたくなるものの、でも夢ってだいたいそういうものだし、妙にリアリティがあるんですね。

 

それから、私がスピリチュアリストだから随所にスピリチュアルを見出すんですけど、たとえばミナが草原にコーンフレークの雨が降る夢を見るシーン。もうこれは夢で、その裏には夢を作っている舞台袖があるということを知っている上で夢の中にいる。だからすぐに、奥行きがあるように見える景色が、背景が描かれているだけの壁だと気づいて、四方の壁がパタンと倒れます。このシーンは感動しました。これってこの世の仕組みそのものなんですよね。今は知識としてしか知らないけど、奥行きがあって立体のように感じる三次元は本当は幻想で、平面のホログラフィが投影されてるだけ、どうやらそうらしい…というのを感じながら見ると、今思い出しても何だか途方もない気持ちになります。

 

あと、夢のゴミ捨て場でジェニーがかつて繰り返し見ていた夢、幼少期に両親の喧嘩を耳にしてしまったシーンが今も再生されている部屋に遭遇したとき。「ジェニーが生まれたせいでこうなったんだ、ジェニーさえいなければ」という父親の台詞を聞いてまた身が竦むジェニーですが、勇気を出して部屋に入ってみると、両親はペラペラのパネルで、二人の怒鳴り声はレコードがただリピート再生されているだけだった。ジェニーがレコードの針を外すと、当然ながら音声は止まります。

これもねー、わかるわかるーっていう類のなんですよね。過去に縛られることを決めているのは常に自分自身で、本当はいつでも自分の意志でやめられるっていう、そういうやつです。

まあ、って言っても一方では「手放し」は恣意的にやろうと思ってやっても抵抗の力が働くのでかえって逆効果だったり、自然に自動的に手放される形でないと意味がないのも本当だし…という注釈もつけたくなる

 

2023/4 リトル・アラジン 空飛ぶ魔法のじゅうたん

 

youtu.be

 

ドリームビルダーズと同じスタジオの作品のようなので、そちらを観た後でやたら期待を膨らませて観ました。ドリームビルダーズと比べてしまうと…あんまり見応えが無かったなぁ。でも小さい子供向けだからこれくらい軽めでもいいのかもしれない。

とはいえダーク要素はやはり健在で、都会に夢を抱いて主人公のホジャがいざ上京したら、ひどく荒んで殺気立った景色がそこには広がっていたり。ホジャの育った牧歌的な村とはまるで違う、こそ泥の子供たちの過酷な現実が垣間見えたり。そういう世知辛いところはドリームビルダーズと共通していると思いました。

 

でも悪役なはずの太った王様は妙に愛嬌があるし、ホジャが地下牢獄から抜け出すシーンや最後に退治される悪者たちのシーンはコミカルで、子供向けらしい。

ヒロインのエメラルドがかわいい。こういうつり目顔、好き