※基本ネタバレあり
2023/5 ハイパーハードボイルドグルメリポート
あまりにも絵面がハードボイルドなので、見るまで日本の番組とは思わなかった。
よく「さすがテレ東」「安定のテレ東」とか言われるけど、これはさすがのレベルがバグっててすごすぎる。
ジャーナリズムだな…
Dは勇敢なんだか命知らずなんだか、元少年兵の住み着く墓地に乗り込んだりマフィアの居住区に取材したり、戦場カメラマンかってくらい危険な撮影を敢行していく。
グルメ番組とは思えない破格の面白さです。
どの飯もおいしそうなんですね。ジャガイモの葉を甘辛く煮たカレーとか玉ねぎやナスを油で炒めて数種のスパイスを加えたのとか。今日食べるものがやっとあるか無いかという状況の人には、一体どんな味や喉ごしに感じるんだろうかとか、空腹が満たされる瞬間はどういう感覚だろう?と思う。
そんなギリギリの暮らしの人たちも、ほとんどが食事のときにディレクターに分けてくれるのです。良い人ばかりで、Dの撮影中常に安全を気遣ったりもする。別れ際に「ありがとう、あなたに会えて良かった」と言う人も多い。
視聴者からすると(日本人だからっていうのもあるのかも)つい、関係ない他人が突然やってきてデリケートなことをズケズケ聞くなんて大丈夫か?絶対嫌がられるだろ?と思ってハラハラするんですが、取材に応じてくれた人々は、もしかしたらむしろ逆で、自分に興味を持って接してくる人間の温もりみたいなのを感じているのかもしれない。
生活が過酷な上に孤独な身の上の人もいて、彼らにとってはたとえ貴重で僅かな食べ物でも、一人で完食するより目の前にいる人と同じものを分け合って食べることの方に価値があるのかな
前に、世界一受けたい授業でゲスト講師がウクライナ人の回の「自分たちが恥ずかしい」という出演者の発言は「恵まれている=悪いこと」「過酷な目に遭っている方がえらい」みたいな価値観を植え付けるから最悪だって書いたんですけど、それでもやっぱりこういう番組を見ると条件反射的に思っちゃうんですよね。申し訳ないなって。
そう思っても、その度に俯瞰してニュートラルに捉え直すようにしています。自分と誰かを比べるのがそもそも不毛なこと、まして彼らと自分では生まれも境遇も違いすぎる。
それに罪悪感というのは百害あって一利なしの一番最悪な感情です。心の中で自分を罰しても本当ーに何にも良いことない。
四年前のディレクターのインタビュー記事がありました
こんなにも中身が濃くて面白い番組を作ったのに、社内では呆れられたり制作費が下がっただって…?ひどい話。。
「視聴率が重視される地上波での万人に愛される番組」「みんなこれが欲しいんでしょ?な及第点」ではない、とのことだけど
うーん…「みんなこれが欲しいんでしょ?」を誰も欲していないから今テレビがこうなっているんではないかと…視聴者の及第点ではなくスポンサーとコンプラの及第点だよねたぶん。(そもそも以前の視聴率の調査方法自体、到底実態に即しているとは思えない。2020年から変わったらしいけど)
不定期特番で、ここ数年はコロナの影響か更新が止まっていたみたいだけど、また新しい回の放送が観たいですね。是非ともお願いします
ネットフリックスでは6/11まで観れるので、是非ご覧下さい
2023/5 東京24区
こういう近未来SFのオリジナルアニメあるあるという感じ。
オリジナルっぽいなというのが再生した瞬間になんとなく分かるは何故でしょう。絵柄も不思議なことにそうとしか見えない。
原作の無いアニメが近未来SFになりがちなのはどうしてだろうな…?有名なのはPSYCHO-PASSとか、自分が観たことあるのはアクダマドライブとか。
そういう系統なのかなぁ。
うーん、、どうしてもバックボーンの無さを如実に感じてしまう。別にオリジナルアニメが総じてダメとか言いたいわけではないけど、ストーリーもキャラもなんか浅いです。機械に繋がれて水槽に浮かぶヒロインとか、何番煎じだ。。
でもスタジオポノックの米林宏昌も、過去の名作がどれだけ素晴らしくてもそれは古典だから、常にリアルタイムの視聴者のために作品を作り続けるべきだって言ってたし、モチーフ的には何番煎じであろうがそれを見たことのない層は更新され続けるから、若年層に向けて近未来SFは作り続けられる…ということかもしれない。
東京24区を新鮮だと思う人もいる…んでしょう多分、10代とかなら??
青担当がイメージに反して情熱的な主人公っていうのは珍しかったです。
アスミが本当にみんなに愛される魅力的な子なのは伝わりました。
服もアイドルの衣装みたいでかわいい
「カナエシステム(ハザードキャスト?)は常に過去のデータから未来を予測して判断するから、過去の価値観がより強化される」っていう台詞がありました。
最近見たyoutuberも同じようなことを言ってて、「被害者意識と人種差別のイメージがこんなに定着しているのは黒人だけだ。『認められるために黒人は戦い続けている』という印象を自ら作り出していることに腹が立つ」と。
自分たちは被害者で差別されていると思えば思うほど、被害者であり続ける状況が強化される。潜在意識の引き寄せとも相似形ですね。
過去と繋がった生き方では過去以上のものは生まれない。だからそれを選ばない東京24区の結末も妥当だったと思います。