歩きで峠を攻める

pixivで11年間二次創作やってます。映画・ドラマ・アニメの感想とか、その他雑記。時々イラスト

配信終了サルベージ記録 Vol.17

※基本ネタバレあり

 

 

 

2023/2 ローマの奇跡

 

youtu.be

 

1946年ローマ、妊婦たちの入院する病室が描かれた映画ですが…

結論から言うと、主人公の赤ちゃん亡くなるし奇跡じゃないじゃん、なんやこの邦題

原題は「Per non dimenticarti」「あなたを忘れないように」という意味らしいです。やっぱ全然違うじゃん。

 

何人もの妊婦たちのストーリーが並行する群像劇なんですけど、登場人物を覚えられなくて、あんまり顔と名前が一致しない。終始誰が誰だか…という状態でした。みんな美人だったな。

 

カトリックでは毎日が誰かしらの聖人の日らしいとちょうど最近小耳に挟んだところでした。今作を観るところどうやら本当らしい。

 

妊婦が平気で飲酒喫煙しているのかなりクレイジー。当時はそれが普通だったにしても、医者含め胎児への影響があるとは誰も思いつかなかったんだろうか。アルコールや煙草自体、体に悪いものという認識がそもそも無かったとか?えっ?アル中が言うなって?

 

2023/2 博士と狂人

 

youtu.be

 

テーマ音楽が美しかったですね。エンドロール三周しました

 

途中まで温かいサクセスストーリーみたいだったのに、この博士(ではなく狂人か、博士でもあるけど)がいよいよ精神を病んで自傷行為に及ぶ辺りから暗雲が垂れ込めてくる。。結局はハッピーエンドらしく収まるのでいいんだけど

 

人違いで無辜の男性を殺害してしまったマイナー博士が、被害者の妻に資金援助を申し出ます。この未亡人、夫を殺した張本人の金で生かされるなんて…とはじめは拒絶していたものの、子供たちの生活には代えられないと渋々受け入れることにして、そればかりか憎んでいる博士に本の差し入れまでするようになる。え、めちゃくちゃ寛大。どうしてだろう。思うに、金銭の受け取りに心理的抵抗が大きかったから、自分もお返しをしてこれは等価交換だと割り切ることにしたのでしょうかね。(後にマイナー博士と恋仲になっていくのでその頃には話が変わってきますが…)

 

しかし罪なき男を殺したばかりかその妻まで奪っている、と罪悪感に耐えかねて、マイナー博士は錯乱し自ら凶器で去勢をする。その後に笑いながら精神病棟の廊下に出ていって、「私は自分を傷つけた!」と叫ぶ博士、それを見てしまった看守が一拍間を置いてブォッと床に嘔吐。

このシーンが私は一番心にきました。この、映像自体はすごく引いてる感じ。恐怖への没入感はまるで無いけど、何気ないように見せてくる間と、遅れてやってくる醒めた戦慄というか…上手く言葉にできない

ホラー映画の優れたシーンにこういうのがあるんですよね。樹海村で塚地武雅演じる医師が飛び降り自殺する場面もこんな感じだった

 

自傷したマイナー博士が「神は犠牲を求められた」って言うんですが、「神は自分の中にある」が共通認識のスピリチュアリストとしては「自分で勝手にやっただけじゃん…」と思ってしまう。そこは唯物論者と意見が一致する、不思議ですね。

しかし人の信仰に茶々入れるのが全く持っておこがましい行為ということは、往々にして世間のマジョリティに馬鹿にされ否定されるスピリチュアリストが一番よく分かっているので、口を慎みます。

 

映画とか本とかで、時々「あ、これは自分に向かって言われていることだ」っていう直感が来る台詞ってないですか?

今回、オックスフォード辞書編纂責任者のマレー博士の妻が夫に言った「迷いと恐れを捨てると約束して」という台詞がそれでした。

本当の自分として生きること、恐れに動じず迷いから解放されること、自分らしさを貫くと決めたら、周りに翻弄されたり、他人からのお墨付きで自らの正当性を確かめようとしたりしないこと…

などなど考えていたときに飛び込んできたんですね、この台詞が。

「迷いと恐れを捨てると約束して」

 

マレー夫人、19世紀の人にしては自由な価値観の持ち主ですね。